> 人を知る

Project
Story02

プロジェクトストーリー02

群雄割拠の
電子材料分野で切り拓く

太陽ホールディングスの主力製品ソルダーレジスト。この製品にはどんな可能性があるのでしょうか。半導体パッケージ(以下、PKG)基板向けソルダーレジスト開発に携わる3人の社員が市場の未来やプロジェクトの醍醐味を語り合いました。

Project Story-01

K.M.

開発

太陽インキ製造
プロセス開発部


2021年入社。ドライフィルムタイプのソルダーレジストについてフィルム化プロセスを担当。社内の知見が少ないため、大学と協力するなどして理論的に解明することでフィルム化技術の向上を目指している。

F.K.

開発

太陽インキ製造
絶縁材料開発部


2011年入社。長年、PKG基板向けソルダーレジストの開発に取り組む。後輩を指導しながら、さらなる高性能品の開発を目指している。

S.K.

開発

太陽インキ製造
絶縁材料開発部


2021年入社。PKG基板向けソルダーレジストのシェア拡大を目指し材料の改良や顧客対応を担当。2024年より新製品開発にも携わる。

Session01

入社してから知った
ソルダーレジストの奥深さ

Session01

S.K.S.K.

正直、就職活動で初めてソルダーレジストという製品を知りました。入社してから実際にソルダーレジストを扱うようになり、誰もが知っているようなグローバル企業の製品もこの材料なしにはつくれないことに驚きましたね。

F.K.

そもそもソルダーレジストとは、プリント基板の表面を覆い、回路パターンを保護する絶縁膜のこと。単に「コーティングして保護する」だけでなく「部品のはんだ接続に必要な開口部を作る」必要があります。そのため、様々な特性を発現する原料を組み合わせて求める性能を備えた組成物を生み出したり、髪の毛の100分の1ほど(1~0.5ミクロン)の厚さをコントロールしなければならない。高い技術が求められる材料なのです。

K.M.

ソルダーレジストには、インキタイプとドライフィルムタイプがあることも入社してから知りました。前者は幅広い基板用途に適用可能な一方、基板に塗布し、乾燥させる手間がかかる。後者は真空熱圧着するのみで顧客先の工程を短縮でき、ミクロンレベルでの膜厚制御が容易になる。一口にソルダーレジストと言っても、幅がとても広く奥深いです。

S.K.

用途ごとに求められる特性が異なるので、必然的に製品も変わってくる。時に「応えられるのかな」と思うようなレベルの高いオーダーもありますが、毎回かたちにしているのは、太陽ホールディングスの技術力とチームワークの賜物だと思います。

Session02

PKG基板向けソルダーレジストに
求められる高い技術力

Session02

S.K.S.K.

私たちが扱っているPKG基板向けソルダーレジストは、リジット基板と言われる大きな基板とICチップを接続するためのPKG基板に使用される製品。主にパソコンやスマートフォンの心臓部とも言える箇所に用いられています。重要な箇所を守る製品だからこそ、高い信頼性が求められるのです。

F.K.F.K.

ソルダーレジストは基板に塗布後、必要な部分に紫外線を照射すると硬化します。未硬化の不要部分を薬液で除去することで基板上にパターンが形成され、追加で熱や紫外線で完全硬化することで永久保護膜にすることができます。PKG基板はリジット基板に比べ高精細なパターンであるため、PKG基板向けソルダーレジストも100~20ミクロンほどの高精細なパターンを形成する必要があります。つまり、保護膜としての高い信頼性と高精細なパターニング特性を同時に満たさなければならない材料なのです。

S.K.

パソコンのCPUやスマートフォンのAPなどの部品の発熱によって繰り返し高温にさらされることで、ソルダーレジストが割れてしまうクラックという現象があります。クラックが発生すると、ソルダーレジストは回路を保護する役割を果たせなくなってしまいます。改善のためにクラックに関わる特性を上げると、他の性能が下がってしまうなどトレードオフになってしまいます。あらゆる特性を維持したままクラック耐性を向上させるのはとても難しいのですが、前任者の頃から様々な検討を重ねクラック耐性だけを付与する原料を新たに見出し、実際に材料に配合したところ見事に課題は解決。飛躍的に性能を高めることができました。

F.K.

技術の限界をギリギリまで突き詰めた先に、全く新しい思想の技術を取り入れることでブレークスルーを起こすのが開発職の醍醐味。変化が激しい分、新世代の技術を切り拓いていく手応えを感じられるのは、とても面白いです。

Session03

ドライフィルム化で
市場の変化に挑む

Session03

K.M.K.M.

私のミッションの一つは、PKG基板向けソルダーレジストのドライフィルム化。これまでの主流はインキタイプでしたが、基板に塗布する際に塗膜に凹凸が発生してしまい厚みの制御が難しいという課題がありました。そこで、ラミネーターを用いた真空熱圧着によって塗膜を形成するドライフィルムタイプの需要が高まっています。

F.K.

ドライフィルム化によって、顧客の作業時間の短縮や不具合リスクの低減、さらには製造プロセスで発生するCO2の削減も実現できます。良いところずくめな一方、開発品のバリエーションによって塗工条件も様々。単に塗れば簡単にフィルム化できるというものではなく、液状時の粘度や表面張力に応じた条件検討を重ねてようやく均一に塗工することができるのです。いつも難易度の高いドライフィルム化に対応してくれて本当に感謝しています。

S.K.

太陽ホールディングスはソルダーレジストの分野で世界トップシェアを誇るメーカー。でも、PKG基板向けソルダーレジストは、毎年市場の進化に合わせて、常に新しい技術を取り入れて顧客要求にスピーディーに応えていく必要がある変化の激しい世界です。

K.M.

安定的にドライフィルムタイプのPKG基板向けソルダーレジストを生産するため、今は最先端の知見を持つ大学教授のサポートのもと、経験則に頼らず理論面からアプローチしているところです。また、新しい工場に導入する設備も検討しています。ひとつひとつ問題を解消しながら成長していくのを、私自身楽しんでいます。

Session04

製品の進化は、市場を、
社会を前進させる力になる

Session04

S.K.S.K.

PKG基板向けソルダーレジストは用途別に様々な種類があります。トップシェアを誇る製品も多い一方、長年競合他社にシェアを奪われている製品もあるのが事実。今後の目標は、私の担当製品で、そのシェアを取りにいくことです。

K.M.K.M.

私の目標は「ドライフィルム化できないから製品化を断念する」といった状況をつくらないこと。今後の事業の未来を左右する意味でも塗工技術の向上はとても重要です。さらに知見を深め、海外グループ会社も含めて社内に技術伝承していく役割を担えたらと思います。

F.K.

現状、PKG基板向けソルダーレジストは、それぞれの用途に応じて特性を備えた製品を展開していますが、1つのソルダーレジストで全ての用途に向けた特性を兼ね備えることができたら面白いと思います。素材・プロセス・部品構造などをコントロールしながら、汎用性の高い製品を開発し、「これさえあれば大丈夫」という状態に持って行くことができたら、市場に大きなインパクトを与えることができるはずです。いつかは「半導体周辺の構造材料なら太陽ホールディングスに任せておけばいい」となることを目指しています。

Next Contents

プロジェクトストーリー03