現在、私は人事部 採用/人材・組織開発課で、人材開発と組織開発を担当しています。人材開発では、社員一人ひとりがビジネスパーソンとして必要な知識やスキルを高めるために、研修や講演会などのOff-JT、職場の中で人が育つ環境を整えるOJTなど、グループ全体にかかる人材育成体系の構築を進めています。

組織開発では、人と人との間にある関係性に働きかけ、組織を構成するメンバーが当事者として自分や組織を成長させていくことを支援しています。具体的には、当社グループの価値観である「太陽バリュー」の制定や、そのバリューを社員一人ひとりが体現できるよう、各職場で仲間とともに実践していくための施策を企画・設計・運営しています。

今では、組織全体に対して、様々な施策を企画していますが、入社当時は、気持ちだけが先走り、なかなか思い通りの仕事ができない時期がありました。当時の私はまだまだ若手社員ということもあり経験が浅く周囲への影響力も小さいため、自分のやりたいことに対して、できることの範囲が限られていました。そして、試行錯誤しながら進めていく中で、気づいたことがありました。それは、物事を動かす上で知識やスキル、経験はもちろん大切ですが、それよりもまず周囲の信頼を得ることが重要だということです。若手が信頼を得るために最も重要なことは、言われたことを100%実行することです。100％実行することは実はとても難しいのです。指示を一つも聞き漏らさずに、納期までにすべてを着実に仕上げること。そして、そこに+αで自分なりの工夫を盛り込むのです。すると、上司や先輩、同僚が自然と私を頼ってくれるようになり、さらに難易度の高い仕事を任せてもらえるようになりました。

そうした積み重ねが、やがて自分の自信にも繋がり、自分のやりたいことを後押ししてくれる環境が自然と生まれました。周囲からの信頼と、納得感のある説明（論理）に、自らの情熱が加わることで、物事を動かす大きな推進力になっていったのです。現在、当社の人材・組織開発を担う立場として、2,000名を超える社員と向き合いながら日々、業務に取り組んでいますが、この学びを今もとても大切にしています。もちろん、当初の想定通りに上手く進まないときもあります。むしろ想定通りに進まない事の方が多い仕事です。しかし、一足飛びに理想を追いすぎず柔軟な姿勢で「うまくいかなかったことも、目的を達成するための一つのプロセス」と考えることで、前向きに変化やチャレンジを楽しんでいます。

会社が成長するにつれ、人材もどんどん多様化しています。そうした変化の中で、一人ひとりの知識や経験を太陽らしく活かしながら経営理念を実現すために、グループ共通の価値観「太陽バリュー」を、おおよそ2年の年月をかけて制定しました。

この「太陽バリュー」の制定は、トップダウンでなく、可能な限り多くの社員の声を紡いで言語化したものです。その背景には、「企業文化は一朝一夕に作り上げられるものではなく、当社の創業以来、積み重ねてきた歴史の中で形成されてきた価値観を未来に繋いでいきたい。」という考えがありました。

そのために、まずは経営陣のダイアログセッションから始めました。2019年に経営陣30人が集まって2日間にわたるセッションを行い、バリューを社員全員で創っていくことが決まりました。その後、役職や年齢、性別を限定しない20人ほどの規模で、メンバーを変えながら「グループダイアログ」を12回実施し、延べ250名が参加しました。グループダイアログでは、太陽グループとして大切にしてきたこと、これから大切にしていきたいことをみんなで共有し、そこで集めた言葉を紡ぎ、太陽グループ全体としての価値観をまとめたものが、「太陽バリュー」となったのです。

「太陽バリュー」の制定によって、新しく太陽グループに入ってくる社員の方々にも当社の価値観を共有しやすくなりました。そして、それぞれの知識や経験を太陽バリューでつなぐことによって、より強い組織になっていくと感じています。

当社の社員は、高い専門性とノウハウを兼ね備えながら、自らの仕事に前向きな意志を持っている方々が多く、同時に優しさに溢れています。この優しさこそ当社の歴史が紡ぎ出す社風だと感じますし、新しい人材が入ってきたときにも、お互いを高め合い、成長しあえる組織になっていると感じます。

そうした変化に寛容な仲間とともに、経営理念を実現できるよう、人材と組織を見つめ、ともに成長していきたいと考えています。