太陽ホールディングスの挑戦
※当社「嵐山ラボ」にて撮影
グローバル企業として、SR(ソルダーレジスト)で世界シェアトップクラスを誇ってきた太陽ホールディングス。競合他社との熾烈な競争に勝ち残っていくためには、お客様の最新ニーズをいち早くキャッチするマーケティング力は欠かせません。同時に「研究開発力」も重要です。次世代の製品にはどういう機能が加わり、どのような特性が求められるかを先んじて検討・開発できる環境。こうした新規事業の創出を加速するため、20年ぶりに研究開発拠点をリニューアル。機能的かつ効率的な施設、嵐山ラボラトリー(通称:嵐山ラボ)が誕生しました。
従来の実験室と違い、『嵐山ラボ』では新規事業を生み出すための、最先端の設備が充実しています。NMRや、GCMSやLCMSといった高性能の分析装置、FE-SEM、AFMや白色干渉顕微鏡などの最新の計測機器などがあり、機能的でスピーディな研究開発を実現しています。さらに作成した幅広い材料の信頼性の評価まで、自社内でできるのは大きな特長です。これにより、今後大きな成長が期待される半導体関連分野の研究開発も積極的に取り組めるようになりました。
これまでも、外部の協力会社に依頼して評価を行っていましたが、結果が分かるまでに最大3週間という時間を要するのがネックでした。それが自社でできることで1〜2日というスピーディーな研究が可能に。新規事業の創出にはこうしたスピードが重要になりますので、さらなる事業領域の拡大が期待できそうです。
『嵐山ラボ』を創った目的として、この他にも2つのことが挙げられます。その1つが、人を育てる環境づくりの観点です。新しい技術やモノを生み出す発想力・創造力を刺激するため、意欲をもって取り組める空間づくりにもこだわりました。実験室といえば無機質で冷たいイメージがありましたが、それを今回のリニューアルで払拭し、「実験室らしくないラボラトリー」が生まれました。木目調の実験台や、黄色や黄緑色のビビットなカラーを使った壁面などにより、温かみや広がりを感じさせる空間を創り上げています。また、必要な機能と動線を考慮し、コンパクトに配慮し、研究効率の向上に繋げています。
そしてもう1つは、様々なステークホルダーの皆さんにも『嵐山ラボ』が見学できるような環境を整えたことです。それぞれの研究室をガラス扉にして、通路から見えるようにしました。このことが、研究者同士の円滑なコミュニケーションにも繋がっています。
オフィスや食堂に続いて、リニューアルした研究開発施設『嵐山ラボ』。これにより、エンジニアたちに活気が生まれ、若手を中心に研究にも主体的に取り組むようになりました。また、遠方からお客様も来訪され、最新設備のあるラボをみて、新たなビジネスにつながる話も少しずつ生まれています。『嵐山ラボ』は今後、新規事業の創出をより一層加速する拠点となります。
太陽ホールディングス株式会社
研究本部 研究部長
1989年入社。PDP(プラズマディスプレイパネル)事業部の立ち上げ・開発・生産・営業の全てに携わる。海外の子会社にて営業理事を経験後、2016年6月から『嵐山ラボ』を統括する研究部長に就任。現在に至る。
※掲載内容は2016年8月取材当時のものです。